【糸東流 資料】

 

①糸東流空手道名称の由来

 摩文仁賢和師は首里手の糸洲安恒に師事、次いで那覇手の東恩納寛量に師事。他に松村派新垣派を修得。後に糸洲、東恩納両師の頭文字をとって糸東流を称する。といっても両系の混合ではなく、武育・気育・体育を一体とした独自の空手道。

 

②4大流派の流派名と開祖者

 糸東流・・・魔文仁賢和

 剛柔流・・・宮城長順

 松涛館流・・・船越義珍

 和道流・・・大塚博紀

 

③形の3大要素

 技法の変化・気息の呑吐・重心の移動

 

④転身八方・転歩五足とは?

 転身八方・・・前後左右斜の方向を意味する。体捌の基本

 転歩五足・・・出足、引足、寄足、飛足、廻り足のこと。運足の基本

 

⑤受けの5原則

 1、落下 2、流水 3、屈伸 4,転位 5、反撃

 【落花】:落花とは、咲き落ちた花に対し、大地は体をかわしたり、避けたりせず、花の落ちてくるのをそのままの位置でがっしりと受け止める。これにちなんで、相手の攻撃に対する受けの態度がちょうどこの大地に似ているという意味で「落花」と名づけられている。

相手の攻撃をそのままの位置にて力強くがっちり受け止める受け方である。

 【流水】:流れる水のごとく、相手の攻撃に対して、けっして逆らわず、相手の力をその方向に流れさせる受け方である。例えば入り身をして猫足立ちで下段の手刀受けなどように、いわゆる相手の力に逆らわない受け流しでのことある。

 【屈伸】:相手の攻撃に対し、体を屈し、または伸ばすことにより、相手との間合いの調整を行って、受け、反撃を行うことである。
例えば、平安2段の前屈立ち下段払いから、前足を引き基立ち上段撃ち下ろしの屈伸運動による受け即攻撃の事である。

 【転位】:自らの体の位置を変えることにより、相手の攻撃目標の位置をずらして防御することである。
いわゆる相手の間合いを見切る事であり、顔の向きを曲げたり、少し腰を低くするなど、相手の攻撃を避けることである。

 【反撃】:相手の攻撃に対し、体を引いて防御するのではなく、攻撃に併せて反撃することにより同時に防御がなされるということである。即ち受け即攻撃となる。
たとえばバッサイダイの突き受け、山突きといえばわかりやすいだろう。

  

⑥呼吸法の種類は

 5種10系  呼気・吸気・耐気がある。

 1(長呑 長吐) 2(長呑 短吐) 3(短呑 長吐) 4(短呑 短吐) 5(波形 呑吐)

 組み合わせると10系



⑦平安の形は誰がどんな目的でどのようにして創られたか

 糸洲安恒師が古来から伝わる種々の形の粋を取り(公相君大・小等)体育的に創られた形。

 

⑧基本形と開手形の違い

 基本形・・鍛錬用の基本的な形

 開手形・・技法を主体にした形 (開手とは技法のこと)

 

⑨演武線とは?

 演武方向を示す線。演武者が正確にその方向に演武する方向進行するためのもの。

 演武線を正確に行うためには、転身八方、転歩五足を正確に行う。

 

⑩機先とは?またその分類は?

 「先んずれば人を制し、遅れれば人に制せられる」如く、常に攻勢を保つこと。
    1.先の先   相手より先に技をかける。
    2.対の先   相手の技に対し、こちらも技をかける。(カウンタ-)
    3.後の先   相手の技を受けはずしてから、技をかける。

 

⑪心の4戒(心の4病)とは?

 1、驚き 2、懼れ 3、疑い 4、惑う

 

⑫形が受手から始まるのは何故?

 1、「彼を知り己を知れば、百戦危うからず。彼を知らず己を知れば一勝一負す。
  彼を知らず己を知らざれば戦うこと必ず危うし」(孫子兵法)
  まずは、相手を知るという事。受け手即ち攻撃。防御即ち攻撃である。
  したがって、形は先ず受けから始まるのである。

 2、先ず相手を知り、己が不敗の地を占めて百戦百勝の機を捉える。

 3、受け手即ち攻撃。防御即ち攻撃。

 

⑬間合の基本とその意味は?

 物的な間合

A、近間の間合  B、遠間の間合  C、一拳一足の間合

 

⑭拳の3殺法とは?

 1、拳を殺す  2、業を殺す 3、気を殺す

 

⑮首里手と那覇手の特徴は? 

首里手・・・各動作の合理性、敏捷さを、主に形により行い、体力の鍛錬は形以外に

           よる。

那覇手・・・反対に形によって体力鍛錬を行い、各動作の合理性、敏捷さは個々の練

           習によって鍛錬する。

 同じ形を演武しても首里手は動作が機敏、那覇手は重々しく見られる。

 しかし究極的には同じである。

 

⑯摩文仁流祖が創作した形の名は?

 明星 青柳 十六 松風

 

⑰糸東流形5つの名称は?

 【糸洲系】:平安初段~5段、ナイファンチン初段~3段、ジッテ、バッサイ大・小、

       五十四歩(以上代表的なもの5つ)首里手最高峰:五十四歩

 【東恩納系】:三戦、転掌、セイエンチン、十三、クルルンファ(以上代表的なもの5 つ)

        那覇手最高峰:百零八(スーパーリンペイ)

 【新垣派】:二十四歩、ウンシュ、壮鎮

 【松村派】:バッサイ、ローハイ

 【その他】:(鶴法)白鳥、八歩連、二十八歩、(石嶺派)石嶺パッサイ、(松林流)

              北谷屋良公相君、(松茂良派)ワンカン、アーナン

 

⑱糸東流の形、流派系別にいくつ知っているか?

 石嶺派:パッサイ

 松林流:北谷屋良の公相君

 糸洲派:鎮衆、腕朶雲(ワンダウン)

 松茂良派:ワンカン、アーナン

 

⑲武道の4要素とは?

 一眼、二足、三胆、四力

  一眼:相手の目に着眼しながら、相手の心の動きを探ると同時に、相手の動静が分かるように全体を包み込むように見る。基本や型の場合は正面もしくは進行方向に視線を向ける。

 二足:攻撃・防御とも重心を安定させ、地面から着かず、離れすぎず軽快な足捌きを心がける。必要以上に高く飛んだり、重く足を引きずってはならない。

 三胆:どのような状況においても心の四戒(驚き・懼れ・疑い・惑う)を克服し、冷静に判断する精神のこと。

 四力:持久力・瞬発力などの筋力を指す。初心者は無駄なところに力が入るため、良く研究しなければならない。

糸東流形の特徴

 

 【バッサイ大】首里手の系統の形であり、基本技が集約され、攻防技の動作が連続的に組み合わされている。軽快な動きのなかに、技の切り返し、強弱の使い方、敏速な極め技等の流れが求められる。

 

 【セイエンチン】那覇手の系統の形であり、接近戦法が多く組み合わされ、蹴り技がなく、重厚な動きに特徴がある。演武線は左右対をなし、同一の動作が多く、呼吸と動作の緩急が一致している。

 

 【松村ローハイ】鷺足立ちによる蹴りのさばき、開手による中段、下段の流し受け、相手の突きを巻き込んでの投技等に特徴がある。連続する技をダイナミック、かつ、スピーディーに演武することが要求される。

 

 【ニーパイポ・二十八歩】呉賢貴によって伝えられた中国拳法の流れを汲むものであり、身体の屈伸や円運動等による体捌き、受けからの肘固め、双手突き、一本拳の突き等の技法に特徴がある。 これらの攻防の技を敏捷に、また緩急の動作をリズミカルに演武することが要求される。